
エレベーターの保守費用は「メーカー系か独立系か」「フルメンテナンスかPOGか」で大きく変わります。法人営業の現場で保守契約の見直しを重ねてきた立場から、下げられる理由・進め方・失敗しないための注意点を、年間114万円→68万円になった事例とあわせて解説します。
結論:エレベーターの保守費用は「見直せる固定費」の代表格
先に結論をお伝えします。エレベーターの保守費用は、契約の種類と依頼先を見直すことで下がる可能性が高い固定費です。
実際に私たちが関わった事例では、5基のエレベーターの保守費用が年間114万円から68万円(約40%削減)になりました。エレベーター本体を替えたわけでも、点検の回数を減らしたわけでもありません。変えたのは「誰に」「どの内容で」保守を頼むか、この2点だけです。
なぜそれだけで下がるのか。この記事では、法人営業の現場でエレベーターや複合機などの保守契約の見直しを数多く見てきた立場から、仕組み・進め方・注意点を順番に説明します。
そもそも保守費用は何で決まるのか
エレベーターの保守費用は、大きく次の3つの掛け合わせで決まります。
| 要素 | 内容 | 費用への影響 |
|---|---|---|
| 依頼先 | メーカー系(製造メーカーの保守会社)か、独立系(メーカー以外の専門会社)か | 一般的に独立系のほうが割安になることが多い |
| 契約の種類 | フルメンテナンス契約か、POG契約か | フルメンテのほうが月額は高く、POGは部品交換が別料金 |
| 建物・機種 | 台数・階数・築年数・メーカー・機種 | 台数が多い、古い、特殊機種ほど高くなりやすい |
このうち、建物と機種は変えられません。変えられるのは「依頼先」と「契約の種類」です。
メーカー系と独立系の違い
新築時は、エレベーターを設置したメーカー系の保守会社と契約するのが一般的です。そのまま何年も更新し続けている建物がほとんどで、「他の選択肢があること自体を知らなかった」というオーナーさまは少なくありません。
独立系メンテナンス会社は、複数メーカーのエレベーターを保守する専門会社です。一般的にメーカー系より保守料金は割安な傾向があり、複数の建物をまとめて依頼できる点も強みです。一方で、機種によっては部品調達に時間がかかる場合や、対応エリアが限られる場合があるため、後述する確認ポイントを押さえる必要があります。
フルメンテナンス契約とPOG契約の違い
- フルメンテナンス契約:点検・調整に加えて、部品交換や修理費用も月額に含まれる。月額は高いが、突発的な出費が出にくい。
- POG契約(Parts・Oil・Grease):点検・調整と消耗品(油脂類など)までが月額に含まれ、部品交換や修理は都度見積もり。月額は安いが、故障時に別途費用がかかる。
築年数が浅く故障の少ない時期はPOG、古くなって部品交換が増える時期はフルメンテ、という使い分けが基本的な考え方です。「新築時のフルメンテをそのまま更新している」建物は、契約の種類を見直すだけでも変わる余地があります。
年間114万円→68万円になった事例で見る「見直しの中身」
私たちが関わった事例(エレベーター5基)では、次の流れで見直しました。
- 現状の把握:現在の契約書・直近1年分の請求書・点検報告書をそろえ、契約の種類(フルメンテ)と年間費用(114万円)を確認。
- 条件を固定して相見積もり:「点検頻度」「遠隔監視の有無」「故障時の駆けつけ体制」「法定検査への対応」を現状と同じ条件に固定し、複数の独立系メンテナンス会社から見積もりを取得。
- 契約内容の比較:金額だけでなく、対応エリア・駆けつけ時間の目安・部品の調達ルート・保険の有無を一覧にして比較。
- 解約通知と切り替え:現契約の解約条項(更新の数か月前までに書面通知)を確認し、期限に合わせて通知。引き継ぎ日を決めて切り替え。
結果、点検内容・監視体制は変えずに、年間費用は114万円から68万円へ。差額は年間約46万円です。同じ建物で複合機も見直したところ、こちらは年間29万円から13万円になり、2つの見直しで年間約62万円、10年で約615万円の削減試算になりました。
ポイントは「安い会社を探す」ことではなく、「同じ条件で見積もりを並べる」ことです。条件をそろえずに金額だけ比べると、あとから「あれは含まれていなかった」という食い違いが起きます。
見直しを進める5つのステップ
ステップ1:契約書と請求書を1年分そろえる
まず手元の資料をそろえます。見るべきは「契約の種類」「年間の総額」「解約条項(通知期限)」「更新月」の4つ。これが分からないと、見積もりも比較もできません。
ステップ2:現状の点検・監視体制を書き出す
月に何回点検に来ているか、遠隔監視はついているか、故障時は何時間以内に来るか。現状の体制を書き出しておくと、見積もり条件を固定できます。
ステップ3:同じ条件で2〜3社から見積もりを取る
条件を固定して、独立系を含む2〜3社に見積もりを依頼します。この段階で「今の会社にも再見積もりを依頼する」のも有効です。他社の見積もりがあるだけで、現契約の金額が見直されることもあります。
ステップ4:金額以外の4点を書面で確認する
- 対応エリアと、故障時の駆けつけ時間の目安
- 部品の調達ルート(メーカー純正か、互換部品か、納期の目安)
- 遠隔監視・24時間の故障受付があるか
- 建築基準法にもとづく法定点検・定期検査報告への対応
ステップ5:解約通知の期限から逆算して切り替える
多くの契約は1年ごとの自動更新で、更新の3〜6か月前までに書面で通知が必要です。期限を1日でも過ぎると自動更新されて、次の見直しは1年後になります。更新月と通知期限をカレンダーに入れておきましょう。
失敗しないための注意点
- 金額だけで決めない:駆けつけ時間や部品調達の条件が悪いと、故障時の停止時間が長くなります。テナントや居住者への影響まで含めて判断してください。
- 法定点検と保守契約は別もの:建築基準法12条にもとづく定期検査報告は、保守契約とは別に必要です。切り替え先がどこまで対応するかを確認します。
- リニューアル時期が近い場合は一緒に考える:設置から20〜25年を超えている場合、保守の見直しとあわせてリニューアル(改修)の計画も検討したほうが、トータルの費用を抑えられることがあります。
- 管理会社・オーナー・テナントの合意を先に取る:切り替えの意思決定者が複数いる場合、見積もりを取る前に「見直しを検討している」ことを共有しておくとスムーズです。
まとめ:まずは「今いくら払っているか」を確認するところから
エレベーターの保守費用は、依頼先と契約の種類を見直すだけで下がる可能性のある固定費です。難しいのは技術的な判断ではなく、「契約書を出して、条件をそろえて、期限までに動く」という段取りの部分です。
LikeTigerでは、現状の契約書と請求書をもとにした削減額の試算・お見積もりを無料で行っています。「いまの金額が適正か知りたいだけ」でも構いません。お気軽にご相談ください。
よくある質問
エレベーターの保守費用は、独立系に切り替えると本当に安くなりますか?
一般的に、メーカー系から独立系メンテナンス会社に切り替えると保守料金が2〜4割下がるケースが多いと言われています。ただし機種・台数・契約内容によって差が大きいため、まず現在の契約書と請求書をもとに見積もりを取り、削減額を確認するのが確実です。
安くなる代わりに、安全面や故障対応が不安です。
独立系でも建築基準法にもとづく法定点検・遠隔監視・24時間の故障受付に対応している会社は多くあります。切り替え前に「対応エリア」「駆けつけ時間」「部品の調達ルート」「遠隔監視の有無」の4点を書面で確認しておけば、安全面を落とさずに費用だけを見直せます。
いまの保守契約は途中で解約できますか?
多くの保守契約は1年ごとの自動更新で、「更新の3〜6か月前までに書面で通知」といった解約条件が定められています。まず契約書の解約条項を確認し、通知期限から逆算してスケジュールを組むのがポイントです。
見直しの相談にお金はかかりますか?
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